夏の訪れとともに、電車内の脱毛広告が増えてくる。特に目立つのは、低価格のキャンペーンを謳った、若い女性に向けたメッセージ。くらしHOW研の調査でも、20代・30代の脱毛指向の高まりが顕著だ。あまり表には見えないが、脱毛のイメージや意識は大きく変わってきている。エステティック大手のTBCグループ広報室の名越華子さんに話を聞いた。
エステ業界全体は横ばいが続いていますが、脱毛の市場は非常に伸びています。その伸びをけん引しているもののひとつが、「脱毛専門サロン」。数百円で脱毛ができるという広告で、若い世代を中心に客層を広げてきました。
こういった専門サロンが行っているのは「美容ライト脱毛(光脱毛)」という方法です。黒い色素に反応する光を照射するもので、10日前後で毛が抜けます。広範囲のパーツを一度に脱毛できて手軽なのですが、抑毛・減毛法なので、終わりという概念はありません。
もうひとつの手法が「美容電気脱毛」。TBCが40年以上続けている脱毛技術で、その場で毛が抜け、処理を完了した毛は生えてきません。“終わりのある脱毛”なので、ライト脱毛では満足できなかったお客さまが、TBCにお越しになるケースが増えています。
ほかには美容外科など医療機関が行う「医療レーザー脱毛」があり、これも最近広告をよく見るようになってきました。
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――くらしHOW研が行った調査では、エステ等で脱毛をした人のうち、満足していると答えた人の割合は70.6%。一方で事業者への疑問や不満として、料金の仕組みがわかりづらい、予約が取りづらい、勧誘が不快などの声が挙がった。
「脱毛専門サロン」のビジネスモデルは、低価格キャンペーンでなるべく多くのお客様を集め、その中から本コースに誘導するというものです。今はサロンが急増し、競争が激化する中で、ますます多くの顧客を集めなければ、運営が難しくなっているサロンもある気がします。その仕組み自体が、料金のわかりにくさや予約の取りにくさを生んでいるのではないでしょうか。TBCでは、コースの効果や価格などをできるだけわかりやすく伝えられるように、心がけています。
そして、勧誘などのお客様をご不快にさせる行為がないように注意を払っており、業界全体でも改善が進んできています。ただ、ネットでのコメントを見ると、過去のそういった事例も出てきてしまう。なかなかイメージが払拭できないのが、残念です。
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TBCの場合、2016年に新規で脱毛を希望されたお客様の数は前年比137%。脱毛されたお客様は、10代が26%、20代が44%と20代以下が7割を占め、低年齢化が進んでいます。かつてここで脱毛されたおかあさまやおばあさまから勧められて、と言って来られる若い女性も多いのですが、それは40数年の歴史があるTBCならではといえるかもしれません。
その一方で、男性のヒゲ脱毛も非常にニーズが高まっています。また、親の介護を経験した50代以上の女性が、自らが介護される可能性を考えて準備をする、”介護脱毛“も増えてくるなど、新たな需要も生まれてきています。
ムダ毛に関する悩みは多様です。今後も、お客様のさまざまな悩みやご要望に丁寧にお応えして、満足していただけるよう、サービスを充実させていきたいですね。