実母世帯とショートステイの親&子供孝行
実家の両親と自分たち夫婦、子供2人の計6人で四国へ旅した経験を持つ、小木曽由貴子さん(41歳、写真)。「子供たちは祖父母に甘えることができ、とても楽しんでいました。3世代で共通の思い出ができるのがいいですね」と話す。
今回の調査では、そんな「3世代旅行」の経験を持つ人が、回答者中8割に上った(データ①)。その約半数が、「実母の世帯と行くことが多い」と答えている(データ②)。きっかけは夏休み・ゴールデンウイークなどの長期の休み。その次に、親世代の記念日、孫世代の記念日が多くなっている(データ③)。1泊2日で近場へというのがスタンダードのようだ。
旅の目的は、「親世代のリラックス」「グルメ」「子供たちが喜ぶレジャー施設」が上位に(データ④)。3世代で行くメリットとしては、「3世代間のコミュニケーション」「親世代の慰労」「家事からの解放」が挙がっており(データ⑤)、親世代と孫世代の両方が喜ぶ旅の内容で交流を図りつつも、副産物として自分たちもグルメやリラックスを楽しんでいる様子がうかがえる。孫がまだ乳幼児の場合は、両親に世話を任せて、しばしのんびりできるというメリットもあるようだ。
温泉、食事…老若男女が満足できる宿が理想
「3世代旅行」を積極的にセッティングする子供世代が、自分たち家族だけで行く旅行よりも重視する点として挙げているのが「宿泊施設の食事内容」「移動距離・時間」「交通・移動手段」など(データ⑥)。年配者と孫世代が一緒に行動するとなると、さまざまな配慮が必要となる。特に宿選びは慎重で、「温泉など皆がゆっくりできるところ」(宮城県/38歳)、「料理がバイキングで、どの世代でも食べるものがある」(大阪府/34歳)など、老若男女全員のニーズを満たすことができ、思い出づくりができる設備やサービスを求めている。回答者の声を凝縮すると、“孫世代が遊べる・学べる場所が近くにあり、親世代も温泉でゆっくりできて、全員が食事に満足できる宿泊施設”が理想と言えそうだ。
「2日目の観光と昼食など具体的に考えてなかったので、成り行き任せになって、昼食がその辺にあった喫茶店になってしまった。自分の調査不足を後悔しました」(44歳/大阪府)というように、身軽に動けない「3世代旅行」には、事前の情報収集が必要不可欠。宿泊施設に関する口コミや、移動時間・手段に関する細やかな情報をリサーチできるからか、インターネットは「3世代旅行」には必要不可欠のツールとなっている(データ⑦)。
用意する旅行費用は5万円~10万円未満、10万円~20万円未満が上位となっており(データ⑧)、人数に伴って旅費もかなり膨らんでいる。その費用を「親世代が全て負担する」という回答が最も多くなっているが、「自分たち子供世代が全て負担する」「旅費、食事代など分担して負担」といったその他の負担方法と大きな開きはなく、人それぞれ、ケースバイケースであることがわかる(データ⑨)。
核家族時代の貴重な交流手段、いつかは北海道・ハワイへ!
3世代で行ってみたい旅行先は、国内で北海道、海外ではハワイがダントツ1位に(データ⑪)。自然の中でゆっくりできて、食べ物もおいしい。憧れの旅行先といえそうだ。また、フリーアンサーでは「親がTDRに一度も行ったことがなかったので、とても喜んでいました。 自分たちだけではどう回ったらいいか分からないので助かったと言われました」(40歳/滋賀県)など、東京ディズニーリゾートの人気の高さもうかがえた。
細かな配慮が必要で費用もかさむ「3世代旅行」だが、「親孝行ができるので、積極的に考えている」人が52.5%と最も多く、次いで「自分たちもとても楽しいので、これからも行きたい」「子供たちが喜ぶので行っている」が多くなっている(データ⑩)。親世代と孫世代のために企画し、その喜ぶ顔が子供世代のモチベーションにもつながっているようだ。
また、兄弟姉妹の家族も含め、9人を超える大人数で「3世代旅行」を楽しんでいる人が、回答者中14.6%も。「親戚・いとこ中で毎年9月の第二週という日程を決めて4世代で元気である報告などをしています」(36歳/愛知県)など、年中行事になっている例も見られた。
「自分の子供の両サイドに祖父母がいて手をつないで歩いているのを後ろから見たとき、なんともいえない幸せを感じた」(36歳/埼玉県)、「家の歴史を孫世代が認識したことがよかった」(67歳/千葉県)。
「3世代旅行」は、現代の核家族が、親世代との絆を深め、孫世代が自分のルーツを知るという貴重な機会になっているようだ。
笑顔や成長が見られる幸せ(フリーアンサーから)
「3世代旅行」のエピソードをフリーアンサーから紹介。成功談からは、親世代の笑顔や、祖父母と触れることで生まれる孫世代の成長を喜ぶ姿が見えてくる。
<成功エピソード>
●子供達が普段よりもお手伝いや気配りができていて少し感心した。自分の親に対しての敬意の気持ちを持っていることが確認できた(44歳/兵庫県)
●2010年の旅行が初の試み。良かったかどうか、行ってからも悩んでいた。でも後日ご近所の年配の方から「おばあちゃん旅行に連れて行ってもらった~って喜んでいたわよ」と言われ、肩の荷が下りた気がした(44歳/神奈川県)
●子供と親世代が日常生活ではできない関わり合い方ができて、昆虫の話や自然の色々な事を教えてもらっていた(44歳/千葉県)
●景観の良い旅行先で、普段はなかなか顔を合わせられないメンバーがそろうのは楽しい。かわいい孫と一緒にいられて嬉しそうな両親を見るのも嬉しい。宿泊代をほとんど負担してくれるので助かる。(本当は出してあげたいけれど、まだそこまでの余裕がないので…)(37歳/兵庫県)
●日帰りを含めると月に1度はどちらかの両親と出かけていますが、私たち夫婦が22、24歳の親だったので 子供たちが両親たちから教えてもらうことが多く、大学生、社会人になっても「あの時に一緒に出かけて教えてもらったこと(博物館や美術館など)が役に立っている」と言っています(47歳/埼玉県)
<ハプニング・反省エピソード>
●子供が暴露話をする…(ママがパパにいつも「も~っ」て文句言うよ。とか。汗。)(37歳/東京都)
●ホテル以外で食事する所をリサーチしていなかったので、なかなか見つからず、両親を無駄に歩かせてしまった(40歳/大阪府)
●ささいなことで親子ゲンカが始まって、気まずい感じになったことが。家族だと甘えてしまうので、その辺はお互いに大人にならないとダメですね(43歳/北海道)
●子供が好きな食べ物メニューを選ぶと親達が少し不満そうだったので、これからは両方OKな場所を選びたいです(40歳/滋賀県)
●義母が義父と喧嘩して血圧が上がり倒れたこと(41歳/愛知県)
<回答者プロフィール>
平均年齢:42.27歳
実母の平均年齢:69.08歳
義母の平均年齢:70.40歳
末子の平均年齢:9.95歳
※2013年5月、リビングWeb、あんふぁんWebでのWEB調査