行政広報誌の閲読率が低下傾向にあるという。多くの人がホームページやSNS を使うようになったが、広報誌が行政情報を市民に届ける重要な媒体のひとつであることは間違いない。この広報誌の品質は「情報」と「配布」という二つの面から捉えられる。
前者は広報誌にいかに価値のある情報を掲載するかという面である。市民に何を伝えることが価値を生むのか、どのように表現すれば伝わるのかを常に考えることである。後者は広報誌で表現された価値をいかに市民に届けるかという面である。価値ある広報誌を制作しても市民に届かなければ意味がない。
昨今、この配布の役割が大きくなっているように思う。以前であれば、紙を届けることが、すなわち価値を届けることであった。しかし、いまや紙で届けるのみならず、ホームページに載せる、SNS で誘導する、また市民の推奨(口コミ)を活用するなど、市民に価値を届ける方法は多様である。最近では、必要な行政情報を必要な人に届けることで価値を生み出す民間事業(マイ広報紙やマチイロ)も始まっている。
このような事業が展開されること自体、広報誌がまだまだ高い価値を生み出せる可能性をもつ証拠である。必要な情報を必要な人に確実に届けることは難しい課題であるが、今後ますますその重要性は高まっていくと思われる。配布を担当する職員の方にはこれまで以上の活躍を期待したい。
PROFILE:
公共コミュニケーション学会理事。博士(公共政策学)。法政大学大学院公共政策研究科博士後期課程修了。江戸川区経営企画部広報課などを経て現職。河井孝仁編(2016)『ソーシャルネットワーク時代の自治体広報』(ぎょうせい)第8章第2節を執筆。
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